年金制度〈超〉入門 その4 ── 年金における「世代間不公平」


画像マネセツ090(古賀)/年金シリーズ04

「将来、年金は果たしてもらえるのだろうか?」
この不安を少しでも軽減するためには、年金制度の問題点を理解しておく必要があります。

「その1」では年金を複雑化している制度、
「その2」では日本の年金制度が職業別に分かれている問題、
「その3」では年金制度の一元化に向けた「基礎年金」、
「その4」となる今回は、年金制度の基本的な復習と「世代間不公平」についてです。
 

制度理解のための3つのポイント

 
年金制度のもっとも基本的なポイントは次の3つです。もう一度おさらいしておきましょう。

◎年金には「公的年金」と「私的年金」の制度があり、「公的年金」は現役世代の支払った保険料を現在の高齢者の給付にあてる「賦課方式」で運営されている。

◎公的年金は職業ごとに3つの区分からなっている。
「国民年金」:自営業や農林水産業、無業者や非正社員が加入
「厚生年金」:民間企業のサラリーマンやその主婦(主夫)が加入
「共済年金」:公務員とその主婦(主夫)が加入

◎国民年金の財政悪化が進んだために、1985年に3つの年金の共通した基礎部分である「基礎年金」の制度が導入された。

さて、この制度は現在の経済状況のなかではさまざまな矛盾が明らかになっています。
その大きなもののひとつは、「世代間不公平」と言われる問題です。
少し詳しく見てみましょう。
 

続く、保険料の引き上げ

 
現在の年金制度を危うくしている大きな要素が、少子高齢化であることは間違いありません。
なぜなら、賦課方式による年金運営は、人口増と経済条件が悪化しないことを前提に設計されているからです。
多くの生産年齢人口が働いて順調に保険金を収め、比較的少数のリタイアした世代が給付金を受け取る、というモデルです。

ところが、事態はまったく異なったものとなっています。
ますます不安定化する経済状況の中で、急激に減り続ける生産年齢人口が、増え続ける年金給付を支えなければなりません。さらに支えるはずの若い世代の給与水準の低下、雇用の不安定化があり、それがまた結婚や出産の低下を招き、保険金の減少、年金未払いが増える……という悪循環になっているのです。

現在、厚生年金の保険料率は16%ほど、国民年金の保険料は月額で1万6000円程度に設定されていますが、1960年には厚生年金保険料率はわずか3%ほど、1970年には5%ほどでした。
2003年では13.58%になっています。つまり保険料はここ20年ほどで急激に引き上げられてきたのです。
今後も保険料は引き上げられることになっています。保険料が減少し続ければ、保険料を引き上げるか、給付をカットするしか道はないからです。

そこで、2004年の税制改革で公的年金に「保険料水準固定方式」が導入されました。
それまで5年に一度、財政条件を鑑みながら保険料を調整するという「給付水準維持方式」が行われてきましたが、これでは給付水準を維持しようとするかぎり、保険料は引き上げられ続ける、ということになってしまいます。

これにかわるのが、「保険料水準固定方式」です。
2017年から厚生年金は18.3%に固定され、国民年金では月額1万6900円と固定されることになったのです。
これは一見、負担の上限が定められて「いいこと」のように見えます。
しかし、「保険料水準固定方式」は、あくまでも「保険料を一定の段階で固定して、その中で可能な年金給付を行う」というものですから、給与水準や年金の運営状況によって給付金は変わりますし、そもそも年金を受け取る人は増えていますから、一人あたりの年金給付額は減ってしまうことになります。
識者の中には、結局近い将来には、保険料の再引き上げをせざるを得ないだろう、と予測する向きもあります。
つまり、年金保険料の負担は、若い世代ほど大きくなってきたのです。
 

「世代の助け合い」は可能か?

 
一方、現在年金を受給している世代(60歳以上の高齢者)は、これまで政策的に優遇されてきました。これは、受け取る額に見あう保険料の引き上げがされてこなかったということです。これによって年金の積立金が失われました。

1960年ごろの生まれを境にして、若い世代にとっては、保険料の負担は増え続ける一方で、給付の額も時期も不確定、ということになってしまいました。
こうした現象について、「年金制度を損得で考えてはいけない」「今の年金受給者も親を扶養しながら苦労してきた」といった意見もあります。

しかし、生活様式や経済のあり方が大きく変わった現在、やはり年金の制度は改めて再検討されるべきなのかもしれません。
 
 

≪記事作成ライター:帰路游可比古[きろ・ゆかひこ]≫
福岡県生まれ。フリーランス編集者・ライター。専門は文字文化だが、現代美術や音楽にも関心が強い。30年ぶりにピアノの稽古を始めた。生きているうちにバッハの「シンフォニア」を弾けるようになりたい。


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