英EU離脱問題で円高加速! なぜ極東の日本が影響を受けたのか? 今後の展開は!?


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6月23日にイギリスの国民投票でEU離脱派が勝利を収めたことは、日本経済にも大きな打撃を与えました。これにより日経平均は1万5000円割れに急落。円は一時1ドル99円まで円高に振れたことも、記憶に新しいでしょう。

その後市場は、いったん落ち着きを取り戻しましたが、イギリスが正式に離脱するまでの2年間、何が起きてもおかしくないのが、いまの世界情勢と言えます。
イギリスで起きたEU離脱問題が、なぜ遠い日本の経済に影響を与えたのか。
この数年、円高から円安へ、そして円高へと大きく振れた円相場が、日本にどのような影響を与えたのか、振り返ってみました。
 

英・国民投票前の日本の円相場の流れは?

 
第2次安倍政権の発足した2012年12月前後は、1ドル80円台を推移していました。もう遠い昔のような気がしますが、当時はかなり円高基調にあったのですね。
2013年になると、アベノミクスによる金融緩和政策やアメリカの景気回復により、円安基調に変化。じわじわと100円台に乗り、さらに2014年の日銀の追加緩和の後、120円台前後になっていきます。2015年は、ほぼ1ドル120円台で推移していました。

今年に入ると徐々に円高が進み、5月になると1ドル110円〜105円で取引されるように。
そして6月。イギリスのEU離脱が現実味をおびてくると、円高が加速。国民投票の結果、離脱派が勝利を収めると、一時99円にまでなってしまったのです。ここまで円高になったのは、2年7カ月ぶりのことでした。
 

そもそも円安によるメリットって何?

 
安倍政権が「円高を是正・株価の上昇」を目指したのは、簡単に言えば、円安により輸出産業が海外で収益を上げ、それにより実質GDPが押し上げられ、株価が上昇。波及効果によりほかの企業の業績が上向きになり、賃金が上昇し……というスパイラルが生まれることが期待されたわけです。
実際に、低迷していた自動車産業は円安により収益がアップしました。
 

なぜ世界情勢の影響で、円高になるの?

 
円高を是正するために、日銀はこの数年、量的・質的緩和を行い、世の中に円を大量に流出させ、またアメリカがドル高を容認したことで、円安が続きました。
それがなぜ、今年になって円高になったのでしょう。
要因はさまざまありますが、中国経済減退の懸念やアメリカの追加利上げの先送りなどをはじめ、世界情勢が混沌としていることに他なりません。

円高とは、簡単に言えば世界の他の通貨に比べて、日本円が信用されているから高くなるわけです。日本の対外純資産(政府、企業、個人が海外に持つ資産から負債を引いたモノ)の残高をみると、339兆2630億円(2015年末)で、世界トップ。しかも25年連続1位です。
日本はお金持ちで、破綻しない国、と見られるわけですね。ちなみにアメリカは、マイナスです。

今回のイギリスのEU離脱問題で、日本が円高になったようにユーロ安、ポンド安となりました。
つまり世界の通貨の信用がなくなるほど、投資家は円を買う=円高となるわけです。
 

EU離脱でさらに円高はすすむ?

 
ロンドンは世界各国の金融機関が集まる「金融センター」と呼ばれる場所です。
EU離脱が現実となったとき、各国は金融機関をそのままロンドンに残すのか。
また、イギリスで作った製品をユーロ圏に輸出する際、今後、関税がかかる可能性もあります。そのとき、イギリスに工場のある企業(日本のメーカーも含め)は、どのような対応に出るのか。さまざまな要因を考えると、ポンド安が進む可能性は否定できません。離脱までの手続きは2年あり、この1年は円高基調で進むのではないかと言われています。

では円高になるとメリットはないのか?というと、そんなことはありません。円高により輸入品、輸入原材料のコストが下がります。また原油もコストが下がります。円安により食品等の値上がりが続いたなかで、この傾向は家計を助けることになりそうです。

ただし今回のような急激な円高は、輸出産業に大打撃を与えることになります。そうなると、株安になり、また景気低迷に輪をかける可能性があります。

イギリスで起きたEU離脱問題が日本に影響を与えたように、今後も世界の大きな出来事により、国内外の金融市場が激しく揺れることは大いにあるでしょう。そのとき政府は、日本企業は、どう対応していくのか。グローバル経済の正念場、と言えるのかもしれません。
 
 

≪記事作成ライター:ナカムラミユキ≫
千葉出身。金沢在住。広告制作会社にて、新聞広告を手がける。映画、舞台からメーカー、金融まで幅広い記事広告を担当。著名人インタビューや住宅関連、街歩きコラム、生活情報まで興味の赴くまま執筆しています。


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