みなさんは、寄付をしたことはありますか。
日本とアメリカを単純比較すると、日本の場合は寄付で集まるお金の総額がとても少ないことは、みなさんなんとなく理解されていると思いますが、過去のデータを見ると一説には「米国100 :日本1」という予想外の差も指摘されています。
そうした中、街角やコンビニエンスストアなどで行われている募金とはまた別の、国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対して「特定寄附金」を支出する場合がありますが、後者は所得控除が受けられたりもすることをご存じでしょうか?
そこで今回は、知っていそうで、意外に知らない「寄付」についてご紹介します。
「特定寄附金」とは、何を指すの?
「特定寄附金」には、実にさまざまな種類があります(「国税庁」資料より抜粋)。
◇国、地方公共団体に対する寄附金。
◇公益社団法人、公益財団法人、その他公益を目的とする事業を行う法人や団体のうち、「広く募集されるもの」「公益の増進に寄与する緊急を要するもの」。
◇所得税法に掲げられる法人などのうち、「公益の増進に著しく寄与するもの」。
◇特定公益信託のうち、「公益の増進に著しく寄与する一定のものの信託財産とするために支出した金額」。
◇政治活動に関する寄附金(政治資金規正法に違反するものは除かれる)。
◇認定特定非営利などに対する寄附金(寄附をした人に特別に利益が及ぶと認められるものは除く)。
◇特定新規中小会社から発行される特定新規株式を振込みにより取得した場合に要した金額のうちの一定金額(1千万円を限度)。
「特定寄附金」とは、結構いろいろな種類があるものなのですね。ただし、共通しているのは(当たり前のことですが)、寄附をした相手方が利益享受にならないということ。その辺りは寄附する側も気をつけなければなりません。
寄附は控除の対象になりますが、その控除額はこのようになります。
以下のいずれか低い金額-2千円=寄附金控除額
◇その年に支出した特定寄附金の額の合計額
◇その年の総所得金額※の40%相当額
※「総所得額」純損失、雑損失、その他各種損失の繰越控除後の総所得金額、特別控除前の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等に係る配当所得の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額及び退職所得金額の合計額。
寄附金の額が多くなればなるほど、寄附金控除額も多くなるようなので、寄附で世の中に貢献していくことも日頃から考えていきたいものですね。
どのくらいの人たちが「寄付」にかかわっているの?
では、どのくらいの人たちが寄付にかかわっているのでしょうか(「寄付白書2015」より)。
1年間(2014年)で、金銭による寄付のみを行った人は17.3%、寄付の性格を持つ会費を払った人は5.3%、そのいずれもを行った人は26.3%、いずれも行わなかった人は51.0%となります。
また、物品で寄付を行うケースもあります。
1年間(2014年)で、金銭による寄付のみを行った人は26.4%、物品のみの寄付を行った人は7.4%、そのいずれもを行った人は17.2%、いずれも行わなかった人は49.0%となります。
ざっくりとですが、約半数くらいの人が寄付にかかわっていることになるわけですね。社会貢献の意識を持ち実行する人は、少なくないことがわかります。あなたは、寄付の経験が、ありますか、ありませんか?
「寄付」をする理由とは?
寄付先を選ぶ際に重視したことの上位3項目はこのようになります(「寄付白書2015」より)。
◇「寄付金の使い道が明確で、有効に使ってもらえること」
◇「活動の趣旨や目的に賛同・共感・期待ができること」
◇「寄付の方法がすぐにわかり簡便であること」
寄付金を確定申告している人の中では、
◇「税の優遇措置が受けられること」
◇「寄付者に対する特典があること」
◇「領収書が発行されること」
などの理由が、上位に挙がります。
寄付を行う理由はさまざまですね。寄付を行うきっかけは、人それぞれ違うと思いますが、寄付を行うこと自体は最終目標ではなく、寄付をした先で寄付金がどのように活かされいくのかが一番大事なこと。寄付をして終わりではなく、ぜひその先まで見届けていきたいものです。
日米英の「寄付」事情を比較してみると……
では、冒頭でも少し触れましたが、視点を世界に向け、日米英3ヵ国の「個人寄付総額」を比較してみましょう。
◇アメリカ 約27兆3504億円(名目GDP比:1.5%)
◇イギリス 約1兆8100億円(名目GDP比:0.6%)
そして、日本は?
◇日本 7409億円(名目GDP比:0.2%)
このうち、寄付推計者数は4410万人、寄付者率の平均は43.6%、だといわれています。
図を見れば一目瞭然。雲泥の差といいますか、国によってこんなにも寄付事情は違うものなのですね。
これは寄付をしようとする意識が、社会全体に流れているか、いないかの違いなのではないでしょうか。
── 寄付をもっと身近に感じられるような方策も、これからは必要になってくるのかもしれません。格差社会が進んでいくといわれる中、寄付はこれからどんどんと広がる可能性がある市場として注目していきたいものです。
≪記事作成ライター:川島大河≫
情報サービス会社、広告代理店などの勤務を経て、現在は供養関連事業(お墓、葬儀、終活など)の販促企画、セミナー・プロデュース、執筆・編集関連業務に従事する。「楽しく人生を過ごすために役立つ情報を分かりやすく提供」することがモットー。
Follow Us