メガバンクから地方銀行へ流れが鮮明?


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企業がメインバンクとして利用する金融機関は、地方銀行がシェアを伸ばし、メガバンクがシェアを減らすという地銀シフトの流れが鮮明になったという。

帝国データバンクの昨年10月末時点での集計によると、都市銀行のシェアは0.15ポイント減の20.14%に対し、地方銀行は0.02%増の38.92%と5年連続のシェア拡大となった。第二地方銀行、信用金庫は、ともにシェアを落としている。

地銀は力をつけた結果、シェアを拡大しているのであろうか。地銀のシェア拡大の背景や地銀の実情などについて、日本クラウド証券代表取締役社長 大前和徳氏に伺った。

都銀が地方から手を引き、地銀のシェアが拡大

地方銀行はなぜシェアが拡大できているのか。
「都銀のシェアがダウンし、地銀のシェアがアップしているというものの、北洋銀行、北陸銀行、広島銀行、伊予銀行などは地銀の中でも、もともと強い地銀です。

メガバンクは中央や海外にいき、地方から手を引いた結果、地方銀行のシェアが増加したに過ぎません」

こうした見方ができる理由には、シェアを拡大している地銀の本拠地が関係している。

「横浜銀行や千葉銀行など、地銀でも首都圏を拠点とする銀行が飛躍的にシェアを拡大しているのであれば、都銀と競争していることになります。

しかし、北海道や四国といった都銀が重視していないエリアでシェアを伸ばしていても、地銀が力をつけている、メガバンクから地銀への流れが生まれているということには、必ずしもならないと思います」

地銀は地方経済を支える存在

地銀のシェア拡大にはどのような背景があるのか。

「選択と集中を進めていく中で、都銀は大都市圏や海外へ集中し、地銀は地元に集中するという動きを鮮明にしています。

地銀は大都市圏が儲かるマーケットとして進出していましたが、地元から逃れられないということになると、地元の経済の動向によって、銀行の収益力も影響を受けることになります。

シェアが増えたからといって、それぞれの地銀の業績が好転になっているとは言えません。メインバンクの数が増えているということは、より地元の企業に関する責任が重くなっていくことということになっています」

地銀は、地元に密着しているが故の役割も負担となっているという。

「地方銀行は簡単に取引先の企業を見離すことはできず、都銀のようにビジネスライクにはしにくいものがあります。

むしろ地銀には、地方の経済を支える社会的役割もあり、地元に根を下ろすのもやむを得ないといえるでしょう」

力のある地銀が地方でシェアを拡大することには、企業側のデメリットも考えらえるようだ。

「地方の経済にとって、圧倒的なシェアを誇る銀行が、地元の経済を支えること自体はよいことです。

しかし、都銀や二番手の銀行などとの健全な競争がなく、地元で独占的な取引が行われることは、企業や消費者にとって選択肢が限られ、よいこととはいえません。」

地銀のシェア拡大は数字上の話

今後の地銀の展望はどうなのか。

「日本は金融機関の数が多いと言われており、地銀同士の合併の話が増えてきています。金融機関の再編はさらに進むと見られています。

今後、強いところと弱いところの差がはっきりと出てくるでしょう。地方が疲弊してきている中、地銀がシェアを増やしているとはいえ、先行きは楽観視できません。

地銀は、支店の統廃合を進める都銀のように、ビジネスライクに地方はやめて中央だけ、海外だけということはできないのです」

そのうえで、地銀シフトの流れが鮮明と言われることに対して、
「地銀がシェアを増やしているというのは、数字上の見え方の問題であって、地銀の厳しい状況を現しています」とした。

地方経済の動向が業績に影響を及ぼしやすいという地銀。メインバンクとしてのシェアだけで、地銀が力をつけてきていると判断するのは早計のようだ。

取材先:日本クラウド証券代表取締役社長 大前和徳
記事作成:ライター 梅原ゆい


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