世界に広まるシェアリングエコノミー〈その3〉



 

連載シリーズでお届けしてきた「世界に広まるシェアリングエコノミー」。

前回の〈その2〉では、アメリカのシェアリングエコノミーサービスをご紹介しましたが、最終回の〈その3〉では、日本発のさまざまなシェアリングサービスにフォーカス。「場所をシェア」「移動をシェア」「モノ・リソースをシェア」の各領域で、いま注目のサービス事例を取り上げながら、シェアリングエコノミーの今後の課題や可能性を探っていきたいと思います。

 

1・場所をシェアするサービス

 

海外におけるシェアリングエコノミーサービスの急速な普及を受け、日本国内でもさまざまなシェアビジネスに参入する企業がここ数年で一気に増加しています。
まずは、シェアリングエコノミーの中でも注目度の高い「場所(民泊、スペース、駐車場など)をシェア」するサービス事例から見ていきましょう。

【ルームステイ<提供企業:みんなのマーケット>】
ホスト(部屋を貸したい人)とゲスト(借りたい人)をマッチングするプラットフォームサービス。部屋だけでなく、一軒家・キャンピングカー・ボートなど、世界約40ヵ国で約250物件が登録されています。ソーシャルメディア認証やクレジットカード決済など、ユーザーが安心・安全に利用できる仕組みを導入しています。

【とまりーな<提供企業:とまれる>】
日本全国の農家・民宿などに宿泊して、田舎体験ができる民泊サービスです。農業・漁業体験や、古民家での田舎暮らし体験、エコツーリズムの宿泊拠点など、目的別に宿泊先を検索できます。

【軒先.com<提供企業:軒先>】
住宅や店舗の屋内外スペース、ビルの公開空地や軒先など、さまざまな空きスペースを貸し出して、スペースを使いたい人が物販やイベント、撮影、教室などに活用できるマッチングサービス。特定の時間や長期間・短期間での貸し借りも可能です。

【Space Market<提供企業:スペースマーケット>】
古民家や映画館、球場、寺院、自治体の公共施設などのスペースを貸し借りできるプラットフォームサービス。提供するスペースは全国で約6000ヵ所以上あり、「映画館で社員総会」「お寺でキックオフミーティング」など、ユニークなイベント企画も生まれています。

【akippa<提供企業:akippa>】
個人や法人が所有する未利用の駐車スペースと、一時的に駐車場を探しているドライバーをマッチングするサービス。登録されている駐車場は全国で5000拠点以上あり、スマートフォンで事前に予約することができます。

【軒先パーキング<提供企業:軒先>】
駐車スペースとドライバーをマッチングする「軒先.com」のパーキング版サービス。「JAF(日本自動車連盟)」と提携し、約1820万人のJAF会員に向けて、会員専用駐車場シェアサービスサイトの運営を行っています。

 

2・移動をシェアするサービス

 

次は「移動(クルマ、自転車、相乗りなど)をシェア」するサービス事例をご紹介します。おなじみの3大カーシェアリングサービスをはじめ、日本ではまだ数少ないライドシェアリングなど、今後ますますニーズが高まりそうな領域です。

【タイムズカープラス<提供企業:タイムズ24>】
業界1位のカーシェアリングサービス。全国46都道府県に9000ヵ所以上のステーションを展開し、所有車両数は約1万7000台。コンパクトカーからワンボックスまで、30種類以上の車種から選べます。

【オリックスカーシェア<提供企業:オリックス自動車>】
業界2位のカーシェアリングサービス。首都圏・中部・関西エリアを中心に1500ヵ所以上のステーションを展開し、所有車両数は約2600台。割安なパック料金体形で、長時間でもリーズナブルに利用できます。

【カレコ<提供企業:三井不動産グループ>】
業界3位のカーシェアリングサービス。東京・大阪を中心に1100ヵ所以上のステーションを展開し、所有車両数は約1700台。ハイクラスかつ新型モデルのカーラインナップが特徴です。

【ミナボート<提供企業:アーキエムズ>】
京都市内で展開しているシェアバイク(自転車)サービス。拠点貸し出し・返却に加え、スマートフォンのアプリで指定した日時・場所や、現在いる場所に自転車を届けてくれる(返却場所も指定できる)サービスもあります。

【notteco<提供企業:notteco>】
空席を持て余しているドライバーと、同じ方面に安く移動したい同乗者をマッチングする、長距離ライドシェアリング(相乗り)サービス。ガソリン代や高速代など、移動にかかる実費をみんなで割勘するシステムなので割安・経済的です。

 

 

 

3・モノやリソースをシェアするサービス

 

次は「モノやリソース(持ち物やスキルなど)をシェア」するサービス事例をご紹介しましょう。すでに皆さんもご存じのフリーマーケットアプリをはじめ、こんなシェアもあるの!?……と驚くモノまで、多種多様なサービスが登場しています。

【メルカリ<提供企業:メルカリ>】
テレビCMでもおなじみのフリーマーケットアプリ。登録・出品は無料で(成約時に販売価格の10%を徴収)、売りたいモノをスマートフォンで撮影して、希望価格やコメントを入力するだけで出品完了。その手軽さから若い女性や主婦層を中心に人気を集め、出品数は1日50万品以上といわれています。

【モノシー<提供企業:セイビー>】
普段使っていない持ち物などをサイト上に登録し、借りたい人に貸し出しできるサービス。自転車などの乗り物、パソコンなどの電化製品、ロボット、衣料品、インテリア用品、スポーツ用品など、さまざまなアイテムが貸し出されています。

【Any+Times<提供企業:エニタイムズ>】
部屋の掃除やペットの世話、面倒な家具の組み立てなど、日常の家事や作業を仲介するWebサービス。依頼者が依頼内容と希望料金サイトに掲載すると、その作業が可能な登録者が依頼者と交渉。交渉がまとまればオファー成立というシステムです。

【TIME TICKET<提供企業:グローバルウェイ>】
「私の30分、売りはじめます。」をキャッチコピーに、個人の持つスキルと時間をシェアするサービス。さまざまな分野の知識やスキルを持っているホスト(登録者)に直接会って、個別相談やアドバイスを受けることができます。30分単位でホストがシェアしている時間が販売され、それをオーダーしたゲスト(依頼者)が支払った料金の一部は、ホストがリクエストした寄付先へ送られます。

 

シェアリングエコノミーの社会的課題

 

以上、3回にわたって、国内外のさまざまなシェアリングエコノミーサービスについて見てきました。〈その1〉で前述の通り、シェアリングエコノミーは貸主・借主双方にとってメリットがあり、マクロ的に見ても個人の多様なニーズへの対応や、社会課題の解決などにつながることが期待されています。

その一方で、安全性の確保や利用者保護などの観点から見ると、事例によっては社会的な課題が残されているのも否めません。たとえば、ライドシェアリングのサービスでは、自家用車のドライバーのみが運行管理や車両整備などの責任を負う形態が前提となっており、事故などのトラブルに対して懸念する声も聞かれます。また、民泊サービスについては、騒音やゴミ出しなどに関する苦情が多数寄せられている実態があり、地域住民とのトラブル防止にも留意が必要となっています。
さらに、IT技術の進化が可能にした両サービスは、現行法が想定していないポジション(法律規制の想定外)にあるため、合法とも非合法ともいえないグレーゾーンが存在し、その解釈が曖昧になっているのが現状です。

 

政府も期待を寄せるシェアリングエコノミーの可能性

 

しかし、人口密集地域における都市問題の解決や、観光地が抱えるインフラ不足への対応、環境への負荷低減、コミュニティの創生など、シェアリングエコノミーに秘められた可能性は非常に大きく、日本政府も今後の推進に意欲を示しています。実際に今年(2017年)6月には民泊新法(住宅宿泊事業法)が成立し、近年の外国人観光客の増加や、2020年の東京五輪を見据え、国内での市場拡大や経済効果に期待が寄せられています。
また、法的な整備とともに、各企業で信頼性・安全性を向上させる取り組みがさらに進めば、まだまだシェアリングエコノミーが拡大する可能性は大きく、将来的には経済活動の仕組み自体が変わっていくことも考えられます。これまでも、さまざまな企業が多様な切り口からサービスを提供してきましたが、多岐な領域をカバーできるだけに、今後も新たな展開が期待されるビジネスモデルといえるでしょう。

将来の世界経済の発展を支え、社会的にも求められるシステム・概念のひとつとして、「C to C」という新しいマーケットをリードするシェアリングエコノミー。その未来の可能性は、私たちユーザー一人ひとりにもゆだねられているのです。

※参考/総務省情報通信白書、シェアリングエコノミーラボ

≪記事作成ライター:菱沼真理奈≫  
約20年にわたり、企業広告・商品広告のコピーや、女性誌・ビジネス誌などのライティングを手がけています。金融・教育・行政・ビジネス関連の堅い記事から、グルメ・カルチャー・ファッション関連の柔らかい記事まで、オールマイティな対応力が自慢です! 座右の銘は「ありがとうの心を大切に」。


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