今年の米中のリスク要因検証


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今年の金融市場、とりわけ株式市場は日米共にロケットスタートとなり、投資家の心理が好転しているようです。このような時、米国、中国での今年の金融市場では何がリスクとして存在しているのか考えてみたいと思います。
 

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Ⅰ:米国

トランプ政権の評判と金利上昇リスク:昨年末トランプ政権が公約していた税制改革法案がようやく成立し、実施される運びとなりました。連邦法人税率を35%から21%に引き下げ、10年間で1.5兆ドルという巨額な減税となります。20%まで引き下げると公言していましたが、ほぼ公約通りの内容です。これにより、国内総生産(GDP)を3%引き上げることが期待されます。昨年来の米株式市場の好調さは、この法案可決による投資家の心理的好転によるところが大きいと思います。
 
しかし、トランプ政権の評判は低いままと言われています。米国民のトランプ大統領の支持率は40%台にとどまり、一向に上向きません。税制改革法案という経済活動活性化の切り札の実施を決めたことで、今年は大統領選挙の中間年に実施される議会の中間選挙に焦点が移って行きます。そこでは、トランプ大統領と政権がどのように政府機関を運営して行くかに注目が集まります。
未だに政権内には未確定の要人ポストがあるようです。50%以上の米国人の支持は集まらず、暴露本なども発行されるなど不安定な状況にあります。中間選挙は11月上旬に実施されます。市場参加者はまだ先のことと捉えていますが、徐々にそれがリスクであると考え始めると、金融市場に暗い影を落とすことになります。
政権基盤が内部崩壊する潜在的危険性があるのではと注目していきたいところです。
経済面では、NAFTA(北米自由貿易協定)の交渉の進捗状態が注目されます。特に、メキシコとの関係が注視されます。メキシコとの国境に建設される壁についても論議が注目されることになるでしょう。
 
今年に入り、金利上昇の勢いに弾みがついています。
米10年債は2.50%を越えてきています。下記グラフ(出所:ウォール・ストリート・ジャーナル紙)は過去一年の米10年債の利回りの推移を示しています。これを見ると、昨年初めにも2.50%を越えています。そして今年は、それを大きく上回り、3%に向うのではと筆者は予想しています。
現在FRB(米連邦準備理事会)の政策金利(フェッド・ファンド・レートの誘導目標の上限)は1.50%です。金融市場では、この政策金利を年3度(0.25%毎)引き上げ、今年末までには2.25%まで引き上げられることが予想されます。
シカゴ金融市場先物ユーロドル(3ヶ月物)12月限利回りは2.235%と、既に2.25%に近い水準に位置します。ほぼ3回の利上げを短期金利ディーラーは織り込んでいると言えます。
 
去年12月に特集した「米景気好調にも関わらず金利が上昇しない謎」では、パウエル次期FRB議長がこの問題に取り組むことになると説明しましたが、その謎の解消に向かうかを注目していきたいです。
金利が上昇しないということは、企業にとっては資金調達コストが負担にならないことから、株価上昇の動きとなりました。ゴルディーロックス(適温相場)が株価上昇の安心材料になり、ダウ平均などの株価指数も押し上げてきました。しかし実際に金利上昇が現実になってくると、企業の資金調達コスト上昇が経営上の重石になることも考えられなくもないと言えます。
パウエル次期FRB議長は、金利上昇を程よい緩やかさに押さえる金融政策を模索することになるのではないかと思います。謎が解明できたのではなく、その謎を解消されることにより、金利上昇テンポを押さえる金融政策に力点を置くことになるのかもしれません。パウエル次期FRB議長の力量が試されることになります。
ウォール街出身の氏は、市場との対話を重視する姿勢です。事前に利上げ方針を市場に発信する努力を怠らなければ、金融市場もそれほどの動揺は示さないのではと思います。企業業績の好調、そして商品相場とりわけ原油相場の上昇は、インフレ懸念を強める潜在的リスクを負っていると言えます。
 
 
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Ⅱ:中国リスク

今年の経済の動向も中国抜きでは考えられません。中国は「新常態」の経済のもと、緩やかな経済成長を歩むことが期待されます。
今年の経済成長率(GDP)は6.5%前後だと予想されます。最近の新聞報道では、外貨準備高が再び上昇方向に転じてきていると言われています。
 
下記グラフ(出所:ウォール・ストリート・ジャーナル紙)は、過去10年間の中国外貨準備高の推移を示しています。これを見ると、2014年には約4兆ドルまで接近していましたが、その後下降曲線を描いてきました。しかし2017年に入ると、3兆ドルのサポートに、徐々に外貨準備高が増加に転じています。今年1月現在では3兆1400億ドルです。
ここ数年中国政府は内需拡大の努力をしているようであり、自国で生産した製品を国内で消費する傾向にありました。しかし、習近平主席は、「一帯一路」の政策もあり、これまで以上に、海外の貿易を増やす勢いにあるように思えてなりません。
昨年色々報道されましたトランプ大統領は対米貿易黒字の問題を再び蒸し返してくる可能性があるのではと思います。特に最近の米中関係の冷え込みを考えると、その可能性は高いのではないでしょうか。
中国は対米貿易関係よりも、「一帯一路」の線上に浮かぶ欧州との位置関係で浮かぶアジアとの経済活動に力点を移動させるのではと思います。その意味では、対米貿易黒字は現状維持のまま、これらの欧州を含めたアジアの諸国との貿易関係の発展に尽力するかもしれません。
 
 
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このように考えると筆者は中国経済には楽観視してしまいます。しかし、不動産バブルの崩壊の可能性、その結果噴出してくる不良債権問題には常に注視していく必要があります。
 
最近の中国のテクノロジーの発展には目を見張るものがあります。大都市で現金を持たなくても生活できる物品・サービスの購買方式、北京での環境問題に取り組む真剣な姿勢から青空を取り戻しつつあります。また金融市場では、中国人民銀行がインフレに対しては強力に引き締めと言う金融手段を行使することで未然にその芽を摘んでいることなど、筆者には評価できることが多いと思います。どのような社会に移行していくのか今後も見守っていきたいです。
そんなことで、現状では死角と言えるほどの弱点は見られていないのではないでしょうか。そこが中国の底力なのでしょう。中国経済の株式市場の指標であり上海総合指数の動きは常に監視して行きましょう。
 
 
今年初めての寄稿となりましたが、皆様にとって投資する際の良い参考資料になればと思っています。宜しくお願いします。

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«記事作成ライター:水谷文雄»
国際金融市場に精通するInvestment Banker。
スイス銀行(現UBS銀行)にて20年余に亘り外国為替および金利・債券市場部門で活躍、
外銀を知り尽くす国際金融のプロフェショナル。新興の外国銀行(中国信託商業銀行 )の
東京支店開設準備に参画しディーリング・ルームの開設を手掛ける。
プライベートではスペインとの関わりを深く持つ文化人でもあり、
スペインと日本との文化・経済交流を夢見るロマンティスト。


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