打倒Amazonを掲げ、反撃体制に入った国内流通各社の“いま”


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前記事「巨人Amazonが手がける「Amazon go」と「融資事業」とは?」では、世界を席巻するAmazonの成長軌道や新規事業について報告した。

日本も例外ではなく、インターネットをとおしてあらゆるジャンルの商品が、Amazonを介して私たちの手に届けられる時代になっている。
ただ、ここにきて日本企業による巻き返しも始まっている。ただ手をこまねいて米国企業に日本の消費者を奪われ続けてはいられない……と、反撃体制に入った国内企業。単独のみならず、ときにはタッグを組んで「打倒Amazon」に向けて動き出した包囲網の実例を、今回はご紹介しよう。

 

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成長が期待できる生鮮食品のネット通販

 

いまや、あらゆるものがネット通販で入手可能な時代になっているが、その中で立ち遅れているといわれるのが、生鮮食品だ。たとえば野菜や鮮魚は鮮度が命なので、注文してから手元に届くまでの時間内に生じるリスクによって、通販業者がなかなか手を出しにくいジャンルとされてきた。

しかし、ライフスタイルの変化で、このジャンルへの消費者の期待は非常に大きくなっている。経済産業省が2017年4月に発表した市場調査によると、食品、飲料、酒類の2016年のネット通販の市場規模は1兆4503億円で、前年比10.2%増になっている。しかし、10.2%増の伸び率を示しているにもかかわらず、ネット通販規模における生鮮食品が占める割合はわずか2%強。この数字からも、今後大きな成長が見込まれているのだ。

当然、こうした数字や市場動向を見逃さないのがAmazonだ。
2017年4月に、いち早く生鮮商品の宅配「Amazonフレッシュ」を開設した。これまで積み上げてきた独自の配送システムを利用し、注文を受けてから最短時間で食品を届けることを打ち出したAmazonは、手を出しにくいジャンルとされた生鮮商品の宅配において、すでに実績をあげている。
一方、このAmazonの動きに刺激を受けるとともに危機感を募らせているのが、スーパーなど国内の大手流通業者だ。ネット通販国内大手の楽天をはじめ、セブン&アイ・ホールディングス、イオン、ソフトバンクなどが打倒Amazonに向けて、次々に新しいビジネスモデルを発表。本格的に動き始めている。

 

動き始めた「打倒Amazon」の国内流通網

 

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大手スーパーのイトーヨーカドーを傘下に置くセブン&アイ・ホールディングスは、国内通販大手のアスクルと組んで、食品の通販サイト「IYフレッシュ」を立ち上げた。
当面のところ、扱う商品は生鮮品を中心に約5000品。アスクルの通販サイト「ロハコ」内に出店し、注文を受けてから翌日配送が可能なシステムを完備した。配送料は1回あたり350円で、購入金額が4500円以上で無料となる。
おもなユーザーターゲットは30~40代の共働き世代。食事の支度に時間をかけたくない層に向け、ヨーカドーの店舗では扱わない調理キットを用意し、レシピ動画や画像公開なども行う。東京23区内を当面のエリアとし、徐々に首都圏全体に拡大する予定。

 

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国内を代表する通販大手の楽天は、米国ウォルマートの子会社・西友と共同で、ネットスーパー「楽天西友ネットスーパー」の立ち上げを発表。これは米国Amazonへの対抗措置ともいえる。
同ネットスーパーでは、西友の実店舗から生鮮食品や日用品を配送するほか、今年中に専用の配送センターを設置する予定。カット野菜や半調理食品、食材がセットになってすぐに調理できる「ミールキット」の品ぞろえなどを強化していく。現在、それぞれが運営している「楽天マート」「SEIYUドットコム」は、新スーパーとして今後は統合されていく予定だという。

 

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国内スーパーマーケットの最大手のひとつイオンもまた、本格的なネット通販事業への取り組みを開始している。提携相手はソフトバンクとヤフー。日本全国に店舗を張りめぐらすイオンの商品力と、ITや人口知能などの最先端技術をもち、ネットでの集客力もあるソフトバンク、ヤフーの力を融合させたい考えだ。

具体的には共同で新しいショッピングサイトを開設し、イオンが調達した食品や日用品とともに、他社の商品も広く扱う本格タイプのサイトをめざす。また、イオンの実店舗ではネット事業から得られるデータを販売活動に利用するほか、ソフトバンクのAIやロボットを導入して運営効率化を図るなど、共同事業での相乗効果も視野に入れている。

 

各社独自の通販サイト新活用も、次々始動!

 

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先に挙げた事例のみならず、各社独自の通販サイトも次々始動している。

たとえばローソンは、実店舗の商品にとどまらず、ネットで注文した生鮮食品をローソン各店舗で受け取れる新システムを発表。朝8時までに注文すれば、当日18時以降に店舗で受け取ることが可能になった。イメージとしては、自宅に配達してもらうことが前提の従来の通販とは逆のパターンにも思えるかもしれない。しかし、単身者や共働きの世帯にとっては幅広い商品のなかから必要なものを選べる一方、受け取りは必ずしも自宅ではなく、受け取りやすい時間に最寄り店舗で受け取れる便利さがウリなわけだ。ローソンからすれば、店舗受け取り時の“ついで買い”も期待できることになる。

さらに、すでに独自の通販サイト(オンラインショップ)を立ち上げている化粧品大手・資生堂をはじめ、イケアの日本法人イケア・ジャパンでは「将来的にはオンラインでのオーダーも可能にしたい」と言及。これに限らず、家具、婦人靴、結婚、医薬品……とジャンルを問わず、ここ数年で各領域、各社独自のEC事業が本格始動している。

── 通販サイトの使い勝手のよさ、便利さは米国の巨人Amazonのけん引力に拠るところが大きく、その充実ぶりによって国内各社も活況を呈し始めている。私たち消費者にとって、そうした切磋琢磨が商品の質の向上やサービス充実につながるのであれば、それに越したことはない。今後、ますます通販サイトが充実することを祈るばかりだ。

≪記事作成ライター:小松一彦≫
東京在住。長年出版社で雑誌、書籍の編集・原稿執筆を手掛け、昨春退職。現在はフリーとして、さまざまなジャンルの出版プロでユースを手掛けている。


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