キャッシュレス決済と日本の現状(2) 広がる電子マネー決済。決済手段の使い分けがさらに進む


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決済手段のキャッシュレス化の波が日本に押し寄せています。

キャッシュレス化の波と言っても、他の国々からみると遅れていると言われがちな日本ですが、その理由として現金に対する高い信頼性や、店頭での現金の扱いやすさ、ATMの充実などが上げられます。2019年はこうした現金主義からの脱却が図られるのでは……と期待されていますが、新サービスの登場などにより、お金の流れが変化していくことは間違いなさそうです。
そこで今回は、これまでのキャッシュレス化を阻んできた壁と、2000年代に登場した電子マネーを中心にお伝えします。

気になる、カード決済のコストとは?

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東京都内の13万2601店の飲食店のクレジットカードの受け入れ状況を調査してみると、約3分の1にあたる4万7525店でしかクレジットカードが使えないという、驚くべき数字が判明しました
※2017年10月時点/経済産業省の「キャッシュレス・ビジョン」(2018年)による。

特に中小規模店舗でのカード普及率が低く、実際に「現金しか使えなくて困った」ということも、みなさん体験したことがあるのではないでしょうか。都内の飲食店でこの数字であれば、全国の普及率はいかばかりか想像に難くありません。

日本にキャッシュレス決済が浸透しない理由のひとつには、このようにキャッシュレス化に対応していない実店舗がいまだ多く存在しているからと言えます。
店舗側の論理に立てば、キャッシュレス決済にかかるコスト負担が受け入れを渋らせてきた理由と言えそうですが、というのもクレジットカード決済には、専用の決済端末が必要であり、その初期投資費に加え、決済手数料として約3%の手数料をカード会社に支払わなくてはなりません。
さらに、ネットワーク回線の接続料や維持コストなどもかかり、現金決済に比べて単純にお金がかかるというデメリットがあります。
一方のカード会社側に目を向けてみると、新規店舗の開拓費用やポイント還元率などの過熱競争がすすみ、さらに貸し倒し費用、延滞管理などの事務処理のコストが年々増加していると指摘され、日本にキャッシュレス決済が浸透しない理由のひとつとされています。

それでも、総決済金額は5兆円を突破!

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こうしたさまざまな課題のなかで登場したのが、電子マネーによる決済サービスです。

クレジットカードは取り引きをするたびに決済情報をやりとりするアクセス型の方法ですが、プリペイド式の電子マネーは、使用前にお金をチャージしてから使うため、店の端末機に電子マネー搭載のスマホかカードをかざすだけで、サインなども必要なく、瞬時に支払いを完了させることができます。
また電子マネーは、発行会社も利用者による貸し倒し費用、延滞管理などの事務処理に追われる必要がないというメリットもあります。さらに、店側が発行会社に支払う加盟店手数料も相対的に安価である点も大きな特長です。

とはいえ、現状として多い決済手段は、クレジットカードに軍配が上がりますが、日本銀行の推計によれば、IC型電子マネーは決済件数、決済金額ともに成長を続け、2008年には決済件数で10億5300万件に達しています。さらに、決済金額7581億円だったものが、2017年には決済件数 54億2300万件、決済金額では、なんと5兆1994億円にも達しています。

さらに第3の波として、QRコードやバーコードを使ったスマホによる決済手段も登場しており、支払い方法は多様化しています。電子マネーやQRコード、バーコード決済などの決済サービスの特長は、金融機関だけでなく異業種が参入している点であり、その分、既存の金融機関にはなかったサービスも見られます。
利用者は、さまざまな生活シーンのなかで、高額の買い物やネットショッピングはクレジットカードで、コンビニなど少額の支払いには電子マネーで、といったように、そのときどきに見合った決済手段を選択できる時代になったわけです。

交通系に始まり、爆発的に普及した電子マネー

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では電子マネーの歴史をざっと振り返りましょう。

2000年代に入って登場したIC型電子マネーが、交通系から広まっていったのは周知のとおりで、2001年にJR東日本のIC乗車券「Suica(スイカ)」が登場すると、全国の交通機関へと広まっていきました。
さらに遡ること1996年、日本で電子マネーが浸透したのは、ソニーが開発した非接触方式のICカード技術「Felica(フェリカ)」によるところが大きいと言われています。というのもその特徴は、世界最速である0.1秒でICカード内のデータ読み書きができるという、世界にも抜きに出た処理速度を実現しているからです。
当然ながら、たくさんの人が利用する電車の改札口で、ピピッと瞬時にデータが読み込まれなければ大混乱を招きかねないことになり、JR東日本が処理速度にこだわったことも納得できる点でしょう。

2002年以降は、大手コンビニエンスストアなどでFelicaをベースとした電子マネー「Edy(エディ)」の決済システム導入が進み、流通の分野でも電子マネーは広まっていきます。さらに、おサイフケータイのようなFelicaを搭載したスマホであれば、電子マネーでの支払いやポイント、乗車券、チケットなどもスマホで一元管理できるため、財布の中身を軽くし、より身軽にスピーディーに行動したいと考えたりする人たちにとって、手放せないものとなっていきます。

こうした電子マネーは若い人たちの間でのみ普及が進んでいると思われがちですが、日経新聞(2019年1月28日電子版)によると、 70歳代以上の電子マネー平均利用額は、直近5年間で87%増え、伸び率は全世代の平均(58%)を上まわっているとあります。

── 現金主義と言われた日本でも確実に変化が訪れており、現金決済、クレジットカード決済、電子マネー決済など多様化する決済手段をいかに使い分けていくか、利用者の賢い選択が問われていきそうです。次回はQRコード決済、バーコード決済についてお伝えします。

≪記事作成ライター:ナカムラミユキ≫ 
石川県金沢市在住。広告制作会社にて、新聞広告を手がける。映画、舞台からメーカー、金融まで幅広い記事広告を担当。著名人インタビューや住宅関連、街歩きコラム、生活情報まで興味の赴くまま執筆しています。


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