LINE POP(ラインポップ)。
2012年に公開され、現在では世界で4000万人のユーザーがいる、超ポピュラーなオンラインゲームです。
それだけに、“運営するLINE社が「ゲームのアイテムの一部が通貨に当たる疑い」で関東財務局の立ち入り検査を受けた”というニュースは、大きな衝撃となって伝わりました。
いったい何が問題なのか、オンラインゲームをしない人にもわかるように調査してみました。
オンラインゲームのアイテムも立派な通貨
「通貨に当たる疑い」の根拠となる法律は、2010年4月1日に施行された『資金決済法』です。
それまでの商品券やプリペイドカードを規制していた前払式証標規制法では、クラウドコンピューティングを利用した電子マネーなどに対応できないため、新たに法整備されました。
今回、話題になった「通貨」とは、あらかじめ代金を支払い、商品やサービスの決済に使う商品券やプリペイドカードなどが対象で、オンラインゲームで「通貨」として扱われるアイテムも該当します。
同法では、運営会社が倒産したり破産したりして、商品券やアイテムが突然、使えなくなくなる事態を防ぐために、発行会社は、未使用残高が1000万円を超える場合、その半額以上を法務局などに供託し、発行残高と未使用残高を年2回、財務局に報告することが義務付けられています。
ゲーム運営会社に突然降りかかる巨額の供託金
今回、問題になったのは、「宝箱の鍵」というアイテム。
ゲーム中でもゲットできるのですが、手に入れた宝箱を「今すぐに開けたい」「もっとたくさん開けたい」となれば、「ルビー」というゲームで使用する通貨を使って手に入れるしかありません。
そして、ルビーを手に入れるのもまた同様に、ゲーム中にゲットする方法で飽き足らなければ、今度は実際のお金を使って購入することになります。
この一連の流れは、「対価を得て発行、その金額や数量が記録され、貯めておくことができ、商品やサービスの提供に使われるアイテム」という資金決済法で言う「前払式支払手段」にすべて該当します。
そこで「宝箱の鍵は、ルビーを介した2次通貨ではないのか」という疑問が生まれてきたわけです。
「最初に問題提起されたのは昨年のことで、社内からの指摘だった」と毎日新聞は報道しています。
指摘された当時の未使用残高は、なんと243億円! 一つ110円ですから、割り算してみると2億2000万個! このゲームの人気度を物語りますが、それに伴う供託金を積むとなると、ゲーム自体の長期未利用者を除いたとしても数十億円となり、いくらLINEといえども、いきなり用意できる額ではありません。
どこからが通貨なのか?その境界線はあいまいなまま
もし厳密に適用されて、「ゲーム内通貨はすべて通貨」ということになってしまえば、既存のオンラインゲームの中には、供託金が用意できなくて維持できなくなるところが出てくるでしょう。
「ゲームがどんどん複雑に進化を遂げる中、法整備が追いつかなくなってきている」とも毎日新聞は書いています。
「仮想空間でそんなにお金を使うんじゃなくて、現実空間で遊ぼうよ」と筆者は思ってもみますが、それはさて置き、この問題をみなさんはどうお感じになりますか?
≪記事作成ライター:前田英彦≫
大手情報サービス企業に11年間在籍後、独立。数々の創業経営者との仕事に触発されて、企業の広報活動を支援する会社を設立、現在18期目を迎えている。「レジを打ったことのない人間に小売りの何がわかる!」と言われたことがきっかけで、なぜかたい焼き屋も展開中。好きなもの。ダルメシアン、テニス、ゆで卵。
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