日本人の約2人に1人がかかると言われるがん。 もしがんになったら、お金はどのくらい必要? 


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以前は、がん=不治の病というイメージが拭いきれませんでしたが、今や二人に一人ががんになると言われる時代。手術方法や治療方法など医学は文字通り日進月歩を遂げ、効力の高い薬が生み出されています。初期段階のがんであれば、早期発見・早期治療により克服したり、がんとうまくつきあいながら生活している人も少なくありません。

とはいえ、もしがんが発覚したら、その治療費はいったいどのくらいかかるのでしょうか。がんを告知された場合、肉体的な問題だけではなく精神的なショックを受けることは想像に難くありませんが、さらに気になるのが経済的問題です。
状況によって違いがありますが、概算でご紹介します。
 

がんになると、かかるのは治療費だけではない

 
不幸にしてがんが発症した場合、部位や進行状況によって、当然その治療費も変わってきますが、大半は保険診療で行われるため、検査代、手術代、入院費など自己負担は3割(70歳未満の場合)です。

抗がん剤や放射線治療を行う場合は、さらに医療費がかさむことになります。最近の抗がん剤投与は外来で行う場合が多いので入院せずに済みますが、通院のための交通費なども必要です。タクシー等を利用せざるを得ない場合もあるでしょうし、マイカーを使ったとすればガソリン代、駐車場代が必要になります。
また、抗がん剤治療の副作用のためのウィッグ(かつら)をはじめ、入院時の食事代や差額ベッド代には保険が適用されないので、全額自己負担になります。
がんになると、治療費だけではなく、さまざまな費用がかかるわけです。

では、その費用はだいたいどのくらいでしょうか。
保険会社のアフラックが行ったがんに関する調査のうち、実際にかかったがんの治療費をがん発症者に聞いたアンケートでは、金額の多い順は次の通り。
・1位:50万円
・2位:100万円
・3位:200万円
かなりざっくりした金額ですが、想像よりも多いでしょうか、それとも少ないでしょうか。いずれにせよ、がんになると数10万円単位で治療費がかかると答えています。
 

がん患者が負担した費用と、償還された額

 
次に、2010年10月に行われた日本がん治療学会学術集会で、東北大学の濃沼信夫教授が発表した「がん医療費」に関する調査データをご紹介しましょう。全国のがん診療施設において、1万8千人の患者から協力を得た具体的な支出額を算出しています(「6604人(平均年齢63.3歳)のがん患者における自己負担額」)。

・患者が病院の窓口で支払った額の平均:101万円
この場合、高額療養費や民間のがん保険・生命保険などの給付金を差し引くと、実際の持ち出し額は『平均38.5万円』に(償還・民間の保険による給付金の平均:62.5万円)。

なお、がん保険など民間の保険給付には、入院給付金、手術給付金、がん診断給付金などが含まれ、各契約の内容によって給付額に差があります。民間の保険に加入していない場合は給付金がありませんから、この調査データにおける支出額は『38.5万円~101万円』と考えられます。
 

治療法による自己負担額の違い

 
参考までに、抗がん剤や放射線などで治療をする場合の治療法別負担金額を見てみましょう。

・化学療法(抗がん剤治療)を行った場合:自己負担額はおよそ133万円
(償還・還付額は75万円)
・分子標的治療(抗がん剤治療)を行った場合:自己負担額はおよそ125万円
(償還・還付額は74万円)
・粒子線治療(放射線治療)を行った場合:自己負担額はおよそ420万円
(償還・還付は116万円)

高額療養費などの還付額を差し引くと、抗がん剤を投与した場合の自己負担額は『51万円〜58万円』となります。保険診療の場合は高額療養費が使えるため、月にすると8万円以下の負担になりますが、治療期間が長引けばそれだけ費用がかさむことになります。

上記の粒子線治療には、重粒子線治療や陽子線治療などの「高額な先進医療」が含まれています。技術料はかなり高額なうえ、健康保険適用外です。「高額な先進医療」には高額療養費もないため、償還・還付はありません。

その点、民間のがん保険などには「高額な先進医療」をカバーしているものもあるようなので、万一を考えると準備しておいたほうがよいという考えもあります。
ただ、がんになっても「高額な先進医療」を必ず受けるわけではないのも事実ですから、保険に入る場合は、よく考える必要がありそうです。
 

かかる費用だけでなく、収入減少も問題に

 
治療費以外にも生活費などは当然必要です。がんになった場合の経済的な問題は支出面だけでなく、収入面における減少とも言われています。

がんになると体調不良や通院などで思うように仕事が続けられず、会社を休まざるを得ないこともあります。やむなく退職という可能性はなきにしもあらずで、収入が断たれた場合は貯金を切り崩すこととなり、やがては治療どころか生活ができなくなるかもしれません。
そうならないために、まずは勤務先の福利厚生制度を確かめておくことをおすすめします。近年では、がん治療を受けながら仕事を続けていく道も多く開かれていますので、傷病休暇は何日取得できるのか、復帰する際の条件があるのか等をチェックしておきましょう。

ちなみに、高額療養費については1カ月分の自己負担額が限度額を超えた場合、後から払い戻される仕組みでしたが、平成27年度からは事前申請ができるようになりました。限度額適用認定証を申請しておくと、窓口での支払いを自己負担限度額までにとどめることができるようになり、一時的な費用負担が軽くなっています。

がん保険などに加入していればさまざまな給付金を受けることもできますが、こちらはすべて後払いです。病院の窓口で支払った後、保険会社に請求を起こして数カ月後に給付されるため、当面の費用はある程度必要になることを覚悟しておきましょう。

── がんになったらいくらかかるのか。
結論としては、いざという時に困らないように「とりあえず100万円」を目途に準備しておくと安心なのではないでしょうか。
(参考:アフラックHP)
 

≪記事作成ライター:山本義彦≫
東京在住。航空会社に勤務し、定年退職後、2年間専門学校に通う。現在は介護福祉士として障がい者の施設で勤務中。航空会社在職中より、音楽評論の執筆を始め、現在も続けている。


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