金持ちが税金を払わずに済む“天国=タックスヘイブン”とは?


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“パナマ文書”が世界を揺るがしていますね。
これは、パナマのモサック・フォンセカという法律事務所から漏えいした機密ファイルのことですが、約1万4000の金融機関とその顧客約21万4500人にのぼる税務情報が書かれているといわれています。

モサック・フォンセカは、“タックスヘイブン”での企業設立の支援に特化することで急成長し、いまやその分野では世界第4位という事務所だそうです。
OECD(経済協力開発機構)は、2010年に世界に9つのタックスヘイブンがあると公表しましたが、パナマはそのうちの一国なのです。
 

数々の国家元首が租税回避!?

 
ではなぜその機密ファイルが世界を揺るがしているかというと、理由は大きく2つ。
1つめの理由は、この文書に書かれた名前は、タックスヘイブンを利用して租税逃れや資産隠しをしている者を示していることです。

そしてもう1つの理由は、顧客名にイギリスのデイヴィッド・キャメロン首相、中国の習近平総書記、ロシアのプーチン大統領、ウクライナのポロシェンコ大統領、シリアのアサド大統領といった数々の国家元首や重要閣僚の家族の名前が書かれていたことです。
アイスランドのグンロイグソン首相は本人の名前でしたが、このことで2016年4月5日、辞任に追い込まれてしまいました。

中国の習総書記は、「ハエも虎も叩く」と言って、共産党幹部の汚職摘発に躍起になっています。それで民衆の不満のガスを抜いているわけです。
その張本人の家族の名前が出てきたわけですから、習総書記個人に累が及ぶと国内は大変なことになってしまいます。ですから、中国政府はこの問題に関するSNSへの投稿を削除したり、報道番組を中断させるなど、火消しに躍起になっているのです。
 

Tax Heavenは間違い。正しくはTax Haven

 
さて、ではあらためて“タックスヘイブン”とは何か。
“Tax Haven”、つまり“税金避難所”という意味ですね。
正式には「低課税地域」といいますが、俗に“租税回避地”と呼ばれています。“Tax Heaven”(税金天国)のほうがいいような気もしますが、違いますのでご注意を。

なぜそのような課税が著しく軽減、あるいは完全に免除される地域が生まれたのか。
OECDのリストには、クック諸島やマーシャル諸島、バヌアツなどの小さな島国やベリーズ、リベリアといった沿海部の途上国の名前ばかりが書かれています。
こうした小国は産業が発達しないので、ならば貿易の拠点、つまり寄港地となって外貨を落としてもらおうと考えました。そこで、誘引策としてタックスヘイブンにしたというわけです。
 

ペーパーカンパニーで課税逃れ

 
問題は、その先です。
税金が安いのをいいことに、当該国に実体のない会社(いわゆるペーパーカンパニー)を設立というか登記して、そこに利益を移すなどして本国の課税を逃れるという企業が出現したのです。
モサック・フォンセカは、そんな企業の導きをして儲けているというわけです。

あのGoogleもタックスヘイブンを大いに活用しています。
同社の実効法人税率は、本国アメリカ以外の事業でなんと2.4%、連結ベースでも22.2%(2009年)という低さ。
巨額の節税を実現するためGoogleは、アメリカ以外での事業所得の大半をアイルランドやオランダの法人を経由して、無税国のバミューダに移転しているとされています。
この手法は“ダブル・アイリッシュ・ダッチ・サンドイッチ”と呼ばれていて、Googleは1200億円以上の節税に成功しているといわれています。

── 源泉徴収で問答無用に税金を引かれている普通のサラリーマンからすると、一言も二言も文句を言いたくなるような話ではありますが、文句をつけたくともどこに言えばいいのかも難しいところ。いずれにせよ、税金はきちんとおさめなくてはなりませんね。
 

≪記事作成ライター:髙橋光二≫
フリーライター・エディター。1958年、東京都生まれ。1981年、多摩美術大学デザイン科卒業後、㈱日本リクルートセンター(現・㈱リクルートキャリア)入社。2000年、独立して現職。主に経営者インタビュー、コンテンツマーケティング、キャリアデザインなどの分野で編集・執筆。


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