ヒラメキがヒット商品誕生のきっかけに!アイデアはまず出願すべし


マネセツ051(山本)/偶然のヒラメキがヒット商品開発に

皆さん、「亀の子たわし」はご存じですよね。
針金にシュロを巻き付けたものが原型ですが、元は100年ほど前、ある発明家が考案した靴拭きマットの部材でした。売れずに返品されてきたマットを奥さんが切り取り、針金を曲げて障子の桟(さん)を掃除する様子を眺めていた発明家に名案がひらめきました。

「これは便利だ」。さっそく製法の特許を申請。形が亀に似ていることから「亀の子たわし」というネーミングで商標登録し、生活便利グッズとして売り出したところ、今に続くヒット商品に。
「特許」「商標登録」ってイマイチよくわからないという人も多いのでは? その違いや内容を理解すれば、あなたもお金持ちになれるかもしれません。
 

あの「ドラゴンクエスト」もヒラメキから誕生!

 
大ヒットしたファミコンソフト「ドラゴンクエスト」も「対戦相手が予想に反した攻撃をしかけてきたら、きっとスリルがあるに違いにない」というヒラメキから生まれたものでした。
だれにでも素晴らしい考えが瞬間的に思い浮かぶことがあります。ヒラメキから生まれたアイデアをぜひ登録してみませんか。やがては大ヒット商品となり、莫大なお金を産むことになったらすごいですよね。
では早速、ひらめきをお金にかえる(!?)、手順についてご紹介しましょう。
 

「特許権」「著作権」は「知的財産権」

 
前述の「特許権」をはじめ、小説や音楽などの「著作権」は「知的財産」と呼ばれます。
知的財産とは、「発明、公安、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの」(知的財産基本法第2条)。
一般的に財産というと、不動産や自動車などのように具体的に存在するものを思い描きますが、時代の進歩とともに物体としての実体を持たない知的創作による情報も財産的価値を有すると考えられるようになりました。

ヒラメキから生まれた発明やアイデアとしての知的財産は、そのままでは誰かに真似されてしまう可能性があります。アイデアを盗まれないためにはどうしたらよいでしょうか。
答えは、「特許」や「実用新案」として登録すること。
情報は簡単に模倣できることから、知的財産を発明・創作した人の権利を守るための知的財産権の仕組みが作られた、というわけです。登録することによってはじめて知的財産権として保護されます。

「特許権」と「実用新案権」は個人が発明や考案をした場合に使われます。次の項目で説明しましょう。その他の種類については図表をご参照ください。
 
 
知的財産権の種類
 

特許権とはいったいどんなもの?

 
「特許権」とは、産業に役立つ新たな発明を創作した者に一定期間(更新すれば最長20年間※1)与えられる独占権、です。特許法第29条には、「産業上利用することが出来る発明をした者は、その発明について特許を受けることができる」と記載されています。
発明に関する権利としては最も知られているのではないでしょうか。

特許法では「発明」を「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう」(特許法第2条)と定義されています。
では、“高度のもの”とはどの程度を指すのでしょう。
 

爆発的な売れ行きに! 芯が折れないシャープペンシル

 
2014年から15年にかけて受験生を中心に学生の間で爆発的な売れ行きとなった「デルガード」をご存じですか? 某大手筆記用具メーカーが、“芯が折れないシャープペンシル”として開発し14年の大ヒット商品となりました。
この場合に取得した特許の名称はなんと「シャープペンシル」。
特許出願中で、その内容は次の通り。「本発明は、筆圧を吸収して筆記芯の折れを防止するようにしたシャープペンシルを提供する」。

開発にあたり学生に事前調査をしたところ、力を入れた瞬間に筆圧で芯が折れやすくなり、芯詰まりを起こすことがわかりました。そこで「筆記時に過剰な筆圧が筆記芯に加わった際、ノック軸が傾き、さらに筆圧を圧縮コイルバネで吸収させる」という技術を開発、特許を取得したわけです。確かに、これは高度な技術だといえるでしょう。
 

特許権を得るための手順

 
特許権を得るためには、特許庁に対して特許出願(オンライン、もしくは書面)を行い、審査を受けます(出願料1万4000円※2)。さらに、出願の日から3年以内に出願審査の請求をしなければならず(出願審査請求制度)、もしこの請求をしない場合は、出願を取り下げたものとみなされます。審査請求時に、審査請求料11万8000円と請求項の項数につき4000円※2が必要です。

審査請求をすると特許公開広報が出て、内容が一般に公開されます。そうなると誰でも模倣できるため、発明者の権利を保護するために設けられたのが「補償金請求権」。
他の人がライセンス契約をせずに発明内容を使用したことで発明者が受けた逸失利益を請求できるのですが、ただし、補償金を請求する前には相手方に警告をする必要があり、お金を受け取ることができるのは、特許を取得した後になります。
めでたく特許が取得できた場合は、3年目までの特許料として1年につき2100円と1請求項につき200円※3が必要です。

手続きとしては以上の通りですが、実際に特許を得るためには、厳しい審査を通らなくてはなりません。
要件としては、まずその発明が、
① 新しいものであること
② 容易にはできないものであること
③ 最も先に出願されたものであること……
自分の発明が特許になり得るかどうか、特許庁の基準や過去の事例を知っておく必要があります。
特許庁のHPにはキーワードを入力することで簡易検索できる便利なサイトが掲載されていますので、チェックしてみてください。

・ 特許情報プラットフォーム:
・ https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage

ちなみに、特許出願のノウハウを持つ特許事務所に相談して先行調査を依頼し、申請に伴う各種書類の作成を代行してもらうこともできますが、この場合の費用は特許事務所によってさまざま。数万円から数十万円のところが多いようです。
 

知っておきたい実用新案権

 
次に、特許のほかに簡易版ともいうべき実用新案の制度があります。
「物品の形状、構造または組み合わせに係る考案の保護及び利用を図ることにより、その考案を奨励し、もって産業の発達に寄与する(実用新案法第1条)」ことを目的として発足したもので、特許との違いは「発明」ではなく「考案」ということ。物品の形状や構造に関する技術的な創作に限られます。

実用新案権は出願さえすれば審査をせずに登録することができます。そのため、補償金請求権が確立されている特許とは違い、権利行使に際して制限があります。
自分の考案を他の人が無断で実施した場合に差し止めの請求や損害賠償を求めるためには、まず特許庁に対して技術評価の請求を行う必要があります。そのうえで、特許庁が作成した技術評価書を提示して相手に警告をした上ではじめて権利行使ができることになります。
また、実用新案権は出願から10年で満了するため、特許権と比べると権利の期間が短いことにも留意をしなくてはなりません。

実用新案権の登録時には出願料(1万4000円※2)を支払うと即登録されるため、3年目までの登録料として1年につき2100円に1請求項につき100円を加えた額を納付する必要があります。さらに、権利行使のために実用新案技術評価を請求する場合は、4万2000円と1請求項につき4000円の料金が必要です。自力で登録手続きをする人が多いのも実用新案の特徴ですが、自分で手続きをするのが難しい場合は特許事務所に依頼をすることになり、さらに数万円から十数万円の出費が必要になります。

── 折角のヒラメキを他の人に真似される前に、特許に比べると手続きが簡易な実用新案を登録しておくのも一つの方法です。
実用新案を登録しているものには、清掃用具として知られた「クイックルワイパー」やインク浸透印「シャチハタ」など、ちょっとした工夫で開発された商品が日常生活で数多く使われています。
ふと思いついたけれど、そのままやり過ごしてしまっているアイデア、皆さんにはありませんか?

注 ※1 医薬品等の一部はさらに5年延長できる
  ※2 平成26年4月1日現在
  ※3 平成26年4月1日現在、ただし平成16年4月1日以降に審査請求をしたもの
 
 

≪記事作成ライター:山本義彦≫
東京在住。航空会社を定年退職後、学校に通って介護資格を取得。現在は介護福祉士として勤務する日々。オペラをこよなく愛し、航空会社在職中より始めた音楽評論の執筆も継続している。


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