露出頻度の高い「払いすぎた利息は取り戻せます」のCM。あの財源はどこから?


クラウドファンディング,ソーシャルレンディング,マネセツ

車で移動中は常にFMラジオをつけている筆者ですが、昨今ラジオのみならず、TVCFでも「過払い金のご相談なら◯◯……」に代表される、「過払い金請求」を促すCMの露出頻度が非常に高くなっています。皆さんは気になりませんか?

自由競争の時代ですし、大手の広告主はラジオやテレビにとってありがたい存在であることは間違いありません。
しかし、あれだけのスポット広告を打てば当然ながらCM費用は莫大なはず。司法書士や弁護士事務所の、いったいどこからその費用は捻出されているのでしょう。
 

かつて、消費者金融のCM全盛期の時代があった

 
レオタード姿のお姉さんが見事なダンスパフォーマンスを決める大手消費者金融のCMを覚えていますか?
遡ること1980年~90年代。当時テレビやラジオに消費者金融のCMがあふれ、動物やアイドルなどのイメージキャラも次々と登場。いずれも「怖くないよ、親しみやすいんだよ」と訴えかけていたように筆者は記憶していますが、振り返れば、それらのCMはのちのち問題になった高金利の実態を包み隠そうとしていた……ととらえることができます。

さらに、「むじんくん」なるものまで登場。「簡単に借りられること」が競われる中、「サラ金地獄」の言葉に代表される通り、消費者金融にまつわる様々な問題が表面化します。
そして、平成18(2006)年。
最高裁で「グレーゾーン金利は無効」という判決により、「消費者金融業者=悪徳」というイメージが定着。つまり、「消費者金融業者は、羊の顔をした狼」と認定された判決を境に、世の中は一変したのです。
 

CMに正義の味方(?)があふれる最近のテレビ、ラジオ

 
時代は移り変わり、いつのまにかテレビ局やラジオ局のお得意様は、消費者金融業者から、弁護士事務所や司法書士事務所に移り替わっていました。
彼らは、テレビやラジオに毎日登場し、「悪徳業者から、あなたはお金を取り戻せる!」「狼さんから私たちが取り戻してあげる」「応援するから、さあ、勇気を持って声をあげよう!」「お金を取り戻せたら、その中から私たちは費用をもらうから心配いらないよ」……といったメッセージを訴えかけています。

過去から現在を遡ると……
平成18(2006)年までは、消費者金融が「簡単だし、お金を借りても安心だよ」。
平成18年以降は、弁護士や司法書士事務所が「勇気を持って取り戻そう」と私たちに訴えかけていることになります。でも、これってなんだか変だと思いませんか。その実情はどうなっているのでしょう。
そうです……。膨大なCMから「手数料が半端なく高額ではないか!?」という実情が透けてみえ始めているのです。

ある例をあげると、消費者金融に20%を超える高い利息を取られて苦しんだ挙句、やっとお金を取り戻せたと思ったら、今度はその中から、経費を入れた20%超の高い手数料を取られるといった実例も……。
いま流れているCMは、かつて消費者金融が高金利を覆い隠したのと同じく、高い手数料を覆い隠しているようにしか筆者には見えないのです。

そもそも、「代表は法務大臣認定の○○○○」を謳っているところにもありますね。でも、司法書士や弁護士で法務大臣認定じゃないケースってあるのでしょうか。
当たり前のことをわざわざ喧伝するのは、「正義の味方に見せたい」という気持ちの表れととらえることもできますし、裁判所は彼らに「過払い金バブル」を生みだしてしまったともいえるでしょう。
 

過払い金請求手数料の累積額は8000億円以上!

 
貸金業協会の統計によると、過払い金返還額はピークの平成20(2008)年度で、7000億円以上。だいぶ減ったとはいえ、平成26年(2014)度も2000億円以上あります。手数料を20%としても、ピーク時で、1400億円、平成26年は400億円にのぼることになります。

さらに平成18(2006)年から26(2014)年までを累積すると、その返還総額は4兆円以上。手数料はなんと8000億円以上にもなるのです。
当然のことながら、CMをバンバンうっている大手事務所が、かなりのシェアを占めていることが予想されます。これだけ儲かれば、なるほどあれだけの数のCMも打てるわけですね。

筆者としては、「取り戻す人にはさっさと取り戻してもらって、一日も早くカーラジオからあのCMが消えてほしい」と願わずにはいられません(あくまで個人的感想ですが)。
同時に、無計画に借り過ぎた人に対して、『取り戻す』という言葉って適切なんだろうか」など、筆者は安居酒屋で今日もくだを巻いている次第。
どうにもならないことなのかもしれませんが、この記事にご共感いただける方が多いことを祈って……。
 
 

≪記事作成ライター:前田英彦≫
大手情報サービス企業に11年間在籍後、独立。数々の創業経営者との仕事に触発されて、企業の広報活動を支援する会社を設立、現在18期目を迎えている。「レジを打ったことのない人間に小売りの何がわかる!」と言われたことがきっかけで、なぜかたい焼き屋も展開中。好きなもの。ダルメシアン、テニス、ゆで卵。


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