日米同時上場を果たした「LINE」、今後の事業展開における課題とは?


画像マネセツ094〈菱沼〉/LINE日米同時上場

スマートフォンのチャットアプリを運営する「LINE(ライン)」が7月15日、東京証券取引所第1部に上場しました。
終値は公開価格(3300円)を30%上回る4345円、時価総額は9100億円にのぼり、今年に入って最大規模の新規上場に。

前日14日に上場したニューヨーク証券取引所とともに、好調な滑り出しを見せました。
今回の上場でLINEは約1300億円の資金を調達し、アジアを中心に海外での事業拡大を加速させると発表。
一方で、同社を取り巻く情勢は決して甘くないという見方もあり、今後の展開に注目が集まっています。
 

急成長しつつも、純損益の赤字は79億円に

 
「LINE株式会社」は韓国の大手IT企業「ネイバー」の子会社で、東日本大震災をきっかけに開発したチャットアプリLINEが、日本やアジア各国で大ヒット。利用者数は若いユーザー層を中心に、いまや世界で2億人以上に達しています。

アプリの人気で急成長している同社ですが、経営面では課題も残されているようです。
今回、上場に際して開示された財務データによると、2015年度の売上高は前年比39%増の1206億円。売上自体は伸びているものの、純損益では79億円の赤字を計上していることが明らかとなりました(これまでは非上場のため、詳細な財務データは非公開)。
2015年に買収した音楽ストリーミング事業が振るわず、撤退などで生じた損出118億円が響いたとみられています。
 

上場はさらなる成長のための投資

 
こうした厳しい経営状況の中、同社は「上場を成長への投資」と位置づけ、さらなる事業拡大を狙っています。
今後は、上場で調達した約1300億円を元手に、海外での利用者増のキャンペーンをはじめ、人工知能を活用した新サービスや、スマートフォンを使った配信・決済サービス「スマートポータル」ビジネスを多角的に展開すると発表。
海外でのシェア拡大とともに、アプリの普及で得た顧客基盤・ビジネスモデルを生かすことで収益率のアップが見込めると、同社の経営陣は大きな自信をみせています。
しかし、先にも述べたように、昨年は音楽配信ビジネスで赤字を計上しており、いかに視点を定めて巻き返しを図っていくかが注目されるところです。
 

アジアで圧倒的なシェアを占めるも、欧米では……?

 
チャットアプリのLINEは、6000万人のユーザーを抱える日本を主力に、台湾・タイ・インドネシアでも根強い人気があり、海外からの収入が3割を占めています。
とはいっても、マーケットのシェアを握るのは日本とアジアのみ。
世界のコミュニケーションアプリ市場では、皆さんもご存じのフェイスブックやツイッター、ワッツアップなどがメジャーで、欧米では「LINE」という名前すら、ほとんど知られていないのが実状です。

また、LINEには動物や人のイラストで感情を表現する「スタンプ」という機能がありますが、欧米では「感情をイラストで遠まわしに表現する」という発想がなく、可愛らしいイラストも「子どもっぽい」と敬遠されることが多いようです。
 

上場のタイミングで出遅れ感も……?

 
さらに、業界関係者からは「上場のタイミングが遅すぎた」という声も聞かれます。
LINEが最初に上場申請したのは2年前のことですが、普通株の10倍の決定権がある「種類株」を親会社のネイバーが持っていたため、東証が上場承認を見送ってきたという背景があります。

今回、LINE側が種類株制度を廃止したことで、ようやく上場が承認されましたが、その2年の間にフェイスブックやツイッターが上場を果たし、欧米でシェアを一気に拡大。LINEは「市場の陣取り合戦」に出遅れてしまったというのです。

ただ、ニューヨーク証券取引所で数年ぶりとなる日本企業の大型上場は、アメリカでも大きな話題となっています。米ウォールストリート・ジャーナル紙では、「LINEって何?」という動画付きの記事を配信し、スタンプの使い方なども詳しく紹介。LINEを知らなかったアメリカ人の間でも、その存在が認知されつつあるようです。

LINEの日米同時の株式上場で、世界のマーケットはどう変わるのか。そして、いかなる戦略でLINEは巻き返しを図るのか……。
LINEユーザーの筆者としても、今後の展開に期待を寄せたいと思います。
 
 

≪記事作成ライター:菱沼真理奈≫
約20年にわたり、企業広告・商品広告のコピーや、女性誌・ビジネス誌などのライティングを手がけています。金融・教育・行政・ビジネス関連の堅い記事から、グルメ・カルチャー・ファッション関連の柔らかい記事まで、オールマイティな対応力が自慢です! 座右の銘は「ありがとうの心を大切に」。


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