トランプ大統領誕生へ、米国第一主義の政策


予想外の米大統領選挙の結果となってしまいました。トランプ次期大統領の誕生となりました。冷静に今後の政治経済の動きがどのように推移して行くか思い巡らしてみましょう。今回は経済を中心に考えたいと思います。

米メディアはこぞってヒラリー・クリントン候補が、過激発言を繰り返し政治経験がなく軍人の経験もないトランプ候補よりも大統領としての資質があると報道していました。そして直前の世論調査でも、メール問題が解決し、順当に勝利すると思われていました。私の米国人友人もそろってクリントン候補を応援していました。それが、どうしてトランプ候補が勝利してしまったのでしょうか。そこには米国に潜む問題が色濃く反映したと言えます。アメリカンドリームを実現させた世代の次の世代の不満が反映したのではと思います。白人労働者層の生活不安が、トランプ候補を大統領に押し上げたのでしょう。米国の鉄鋼業、繊維製品産業などが、アジア特に中国に市場を奪われ、多くの人々が失業していると言います。そしてメキシコなどからのヒスパニック系の不法移民の流入も、白人労働者層には職を奪われるという現象につながりました。トランプ候補が、メキシコとの国境に壁を築くという発言には大いに賛同を得ることになります。このようなマグマが番狂わせと言われる大統領選挙の結果となりました。

それでは、特に経済に限るとどのようにオバマ民主党政権からトランプ共和党政権に変化していくかに考えてみたい。メディアでのトランプ候補の主張を纏めてみました。

経済成長率を3.5%に引き上げる。そして10年で2,500万人の雇用創出をしますとの政策を打ち出しています。昨日も金融市場の潮目となった勝利演説の中で、成長率を2倍にする、道路、学校、病院などのインフラ投資を進め、最強の経済大国にすると発言されています。現在の経済成長率は第3四半期GDP速報値2.9%前期比年率となっている。今年第1四半期GDPは1.1%であったことを考えると、相当に高い目標と言えます。それを達成するためには、公約したインフラ投資、そして白人労働者層が従事していた第一次産業の復活、アジアから失われた産業を取戻すことが必要なのでしょう。

これを達成するためにはどのような政策を打ち出すのでしょうか。インフラ投資と言う面では、膨大な資金を用意する必要があります。大量の米国債を発行することも手段でしょう。このため、米国債10年利回りが2.00%以上の水準になり、投票前の1.85%からは明確に上昇している。トランプ共和党政権になると、歳出が明確に増加するのではとの観測が出てくる。そのための先取りの動きと言えます。今回はFRB(米連邦準備理事会)との関係は省くことにして、別の機会に論述したいと思っています。結果は、FRBは政権が代わっても、12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げに踏み切るのではとの観測が非常に強まっています。そのために為替市場では、金利の低い国々との通貨(日本、ユーロ圏、英国、オセアニアなど)に対して、ドル高となると考えるのが素直です。しかし、それを阻止する動きもあることを考えないといけません。

生産性を上げることが成長率を引き上げることには必要不可欠です。そのためには生産した製品を海外に輸出する必要があります。そのために、TPP(Trans-Pacific Partnership)には、トランプ政権になると撤廃される可能性が強いのではと思います。TPPでは日本、メキシコ、カナダから関税なしの製品、部品などが輸入されることになります。保護主義的貿易政策に変化すると、それを阻止する動きが強まるとではとの懸念があります。そして輸出するにはドル安政策の方が都合よい。今後米国がドル安政策のもと、輸出の拡大を図る政策を打ち出す可能性があるのではと思います。ドル金利が上昇すると為替理論ではドル高となるのですが、意図したドル安政策がトランプ次期大統領、米財務省から発信される可能性が出てくるのではと思います。これには日本の輸出産業、そして日本経済にとっては痛手になるのではと思います。対中国にも鉄鋼製品のダンピング問題を強く持ち出すことも容易に想像できる。場合によっては、コンピュータなど電子製品の米国生産を打ち出すなど、米国産業を復活させて、国内と海外に商品を流通させ、米経済を力強く前進させることになるのかもしれません。米国第一主義の経済運営が全面的に打ち出されるのではと思っています。為替操作国として中国、日本が標的として打ち出される可能性があると言えます。従って、円に関しては、日本銀行が金融緩和政策を継続しており、理論的には円安方向が見渡せるとですが、恣意的な動きになると、円高の可能性も否定できないのではと思う所です。

税制面では、減税政策が明確になる方向のようです。法人税率、個人所得税の最高税率の引き下げをトランプ次期大統領は公約している。移民の流入阻止、経済成長を引き上げ、米国での生産拠点を回復し、雇用難に陥っている白人労働者の所得を引き上げる。そしてそこに減税が加わることになります。うまくこのような白人層の心情を汲み取った選挙戦の勝利の印象です。公約通りに政策実行が期待されます。個人の最高税率引き下げは、富裕層に対する恩恵をもたらします。消費性向を強めることが期待される。法人税率の引き下げは、こちらも設備投資などに向ける資金余裕を企業にもたらします。また従業員の所得上昇に反映されることになります。

纏めてみると、関税などで規制された市場で、企業は税制負担が軽減され、設備投資を増やし、労働者の雇用を増やすことが出来る。そして生産した製品を、可処分所得が増えた米国民に販売し、消費を刺激する。そして海外に対しては、ドル安政策のもと、輸出を増やすこととなります。そしてインフラ投資、そして恐らく国防費の増大となると、国防産業も活況となろう。そして米国の一大輸出品である農産物の輸出もドル安政策の恩恵を受けて促進されることになります。良い経済のサイクルをトランプ次期大統領は描いているのではないか。バラ色の経済構想に、昨日、今日の世界の株式市場上昇はその期待感が表れているように思います。それを阻止する海外からの圧力には、持ち前の強気、そしてビジネスマン時代に培った手ごわい交渉人の気質で乗り越えるのではと思っています。日本にとっては、タフは交渉人と容易に想像できます。

トランプ次期大統領誕生は、バラ色の経済ばかりではなく、タフな側面が見え隠れする。そして金融市場では変動がこれまでよりも大きくなるのではと思います。慎重に投資商品の選択を考えないといけない時代が続くことになります。


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