2016年金融市場を振り返って


年末も押し迫り、今年の金融相場を振り返り、そして来年への糧とする時期であると思います。

まずは国内経済・金融の世界を見てみましょう。結果を振り返ると、日経平均も為替でドル円の動きを見ると、共に鍋底のチャートとなっています。共に年初が高く、春、夏の時期に底を形成、そして秋口から急速に回復し、何とか今年の面目を保った相場であると言えます。やはり年初での期待感が高い相場であったものの、海外からリスク要因を意識した株価売り、そしてドル売りが支配したと言えるでしょう。中国経済不安、原油価格下落、そして英国のEU(欧州連合)離脱という所謂Brexitのリスクを意識した市場環境の影響があったと言えます。これについては後程論述したいと思います。

日本の金融政策を振り返って

このようなリスクが充満する市場環境に対して日本銀行は何をしていたのでしょう。海外リスクと言うことで、静観の態度を当初取りました。しかし4月28日、日銀金融政策決定会合で、景気見通しの改善が見られないこと、企業の資金需要も低迷していること、そしてインフレ率が一向に上向かないことから、日本銀行は、当座預金のうち政策金利残高に-0.1%のマイナス金利を適用すると発表しました。
金融機関は日銀に対して余剰資金を預けてもマイナス金利つまり保管金利を取りますよとメッセージを送りました。銀行は資金を積極的に企業の設備投資、運転資金の需要を掘り起こして、景気改善に寄与してほしいとの思いが込められています。そして景気、金融市場を静観する態度を取りました。
しかし日本経済の指数日経平均下落と、金利差から円安に向かうと思われたドル円は円高方向に振れ、結果日銀のマイナス金利導入は日本経済に一向に寄与しないことになりました。この事態を打開したのは、9月21日の日銀金融政策決定会合でした。「イールドカーブコントロール」と言う、10年国債をゼロ金利程度に推移するように長期国債を購入する金融政策を導入しました。日銀は市場に資金供給をする所謂量的緩和を続けてきました。それを金利体系の一定の点、つまり10年をゼロ金利付近にとどめる金利政策に転換したと言えます。
日銀は10年近辺の国債をゼロ金利程度にすることで、明確に市場はこの水準に注目することになりました。それともうひとつ、消費者物価指数上昇率を安定的に2%の物価安定の目標とするまでオーバーシュート型コミットメントをする姿勢を強めました。10年国債でのゼロ金利程度とする政策、2%までインフレ目標を引き上げる足元の資金供給を継続するという、2本立ての金融政策運営方針を決定しました。外部要因の改善もあり、株価、為替共に上向き、一見日銀の新たな金融方針は機能しているかのように見えます。
しかし、直近の10年国債の利回り0.05%とプラス圏に移っており、逆に日銀は積極的に10年国債を購入して市場の過熱感を冷やす動きにあります。海外債券市場で利回り上昇を受け、日本国債利回りが上昇した結果と言えます。そして投資家も債券から株に資金移動した結果ではないかと思います。またインフレ率に関しては、直近発表の11月全国消費者物価指数0.5%前年比、除生鮮-0.4%前年比と一向に改善していません。この辺りはまだまだ日銀としては不本意の数字であり、来年も引き続き改善ポイントではないかと思います。海外の金融市場に翻弄された今年の日銀であり、思うような金融政策の果実は得ていないと言えます。黒田日銀総裁の悩みは続くことになります。

海外動向:世界を取り巻く流れ

海外市場では、前述のリスク要因と共に、FRB(米連邦準備理事会)の利上げがいつになるかに注目が集まりました。昨年12月の利上げから、市場は催促相場になったようです。結果12月まで利上げを待つことになりました。これを阻んだ要因は前述のリスク要因と言えます。

中国リスクは昨年の上海総合指数の暴落から今年は一転安定した動きを示しています。そして中国人民銀行は積極的に利下げを実施し、市場に安定感を与える政策をとりました。中国第3四半期GDP:6.7%前年比と安定的に推移しています。しかしこれまで程の高成長率は今後期待できません。習近平国家主席も6.5%程度の成長率を受け入れると語っています。中国の外貨準備高が今年は大幅に減少していることが象徴的です。不動産のバブル崩壊も一部地域では噂されているようです。今年後半は大きく注目されなかった中国経済ですが、来年は、金融市場が不安定になる相場展開では常に中国経済動向を注目しないといけないのではと思います。為替で中国経済への依存度が高い、豪、ニュージーランドなどオセアニア通貨の下落が年末著しいため、オセアニアへの金利高を狙った債券投資も通貨下落の動きに注意する必要が、来年もあると言えます。

原油下落リスクに言及しましょう。サウジアラビアとイランの原油生産量を巡る対立から原油価格が下落しました。増産を進め近代化を急ぎたいイランと、原油価格安定のため減産を主張する対立構造です。それが年末の一連の減産に合意する姿勢を見せたことで、原油価格が上昇に転じています。西側の経済制裁を受けているロシアも減産に同調する姿勢を見せました。現在指標銘柄のWTIで見ると50ドルを上回る水準にあります。これにより、米シェールガス・オイル産業が復活する兆しがあります。トランプ次期大統領にとっては中西部の共和党地盤である産業の復活は追い風であると言えます。

Brexitは依然としてリスク要因ですが、メイ英首相がSoft Brexitを目指しているのか、ポンド相場が大きくは下落していなく、そして経済も大きく後退する数字にはなっていません。しかし来年は、EU離脱の手続きが粛々を行われる動きになり、英国に拠点を設ける海外製造業、金融機関も中に、大陸へと拠点を移す動きになると次第に英経済の低迷へと移行するリスクは秘めているのではないかと考えています。まだまだBrexitはこれからの展開に注目すべきであると筆者は思うのですが。

最後にFRBの政策に少し言及したいと思います。来年トランプ大統領が就任することになります。金利コントロールが主たる目的のFRBとしては現在の経済環境から利上げを続けるのでは思います。それを阻むのがトランプ政権ではないかと思います。インフレ投資、財政出動から、金利上昇が必然の市場環境が今後予想されます。しかしトランプ政権の最優先課題は景気の絶対上昇です。その意味では利上げをさせない政治圧力が強まるのではないかと思います。2018年3月までイエレン議長の任期があるのですが、トランプ政権は次第に圧力を強めるのではないかと予想されます。それが来年の世界最大の金融市場のリスクではないかと想い描いています。

こんなことを想い巡らしつつ、皆さん良いお年をお迎えください。


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