懐かしい?新鮮?デジタル全盛時代に、アナログが多方面で復活中【1】


クラウドファンディング,ソーシャルレンディング,マネセツ

デジタル機器に慣れきった若者の間で、アナログ写真やレコードなどの人気が復活している。

写真は白黒フィルム、音楽はレコード、さらにはボードゲームなど、おじさん・おばさん世代にとっては懐かしいシロモノが、若者にとっては新鮮なファッションアイテムとなっているようだ。

そこで、最近人気のアナロググッズを紹介するとともに、最近の若者がどのように活用しているのかについても紹介しよう。その1回目として「アナログフィルム」人気について取り上げる。
若者たちの消費動向をキャッチできれば、新しいビジネスチャンスも生まれようというもの。古くて新しい人気商品はなんだ?

白黒フィルムが、今秋復活販売へ!

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富士フイルムが、モノクロ写真用の白黒フィルムの販売を再開すると発表した。再開されるのは「ネオパン100 アクロスII」で、時期は2019年秋を予定、価格や販売目標は未定とのこと。

実は富士フイルムは、需要の減少や原材料の入手困難を理由に、2018年秋にモノクロフィルムの販売を終了していた。しかし、モノクロ写真の柔らかい風合いなどを好む写真愛好家、そして白黒フィルムを新鮮に感じる若い世代から販売継続を望む声が相次ぎ、新たに開発した白黒フィルムを販売する運びとなったという。

富士フイルムが昨秋に白黒フィルムの販売を終了したのは、フィルムに欠かせない写真乳剤の原材料の一部が入手困難となったため。しかし、その代替品を開発できたことで、販売再開が可能となった。

フィルムとデジタルの違いを表すキーワード「こだわり」

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いまやスマートフォンでもモードの切り替えによって、モノクロ写真の撮影は可能だ。しかし、やはりデジタルとアナログ(フィルム)とでは、仕上がりの風合いに大きな違いが。特にプリントした場合には、その風合いはまったく違ってくる。

また、絶対数として多くはないだろうが、自分で撮影したモノクロフィルムを、自分自身でプリントする作業をする愛好家もいるだろう。そうなれば、自分の思う通りに焼き付けることができ、これこそはデジタルではなかなか再現できない領域となる。

また、広告業界などで使われる「シズル感」という言葉をご存じだろうか。シズル感とは、料理写真に代表される食べ物や飲料の“みずみずしさ”をはじめ、美味しそうな匂い、ステーキが鉄板で焼かれる時のジューという音、指に伝わるような温かな生地の触り心地など、五感に訴えかける画像表現のことを指す。このようにビールが注がれたグラスについた水滴、ハンバーグの中からあふれ出す肉汁といったシズル感もまた、フィルムならではの表現とされている。

このように、フィルムとデジタルの違いを表すキーワードの一つに、「こだわり」が挙げられるのではないだろうか。

世界的にヒットした「写ルンです」もブーム再び

1986年に富士フイルムが販売開始したレンズ付きフィルム「写ルンです」。1997年の最盛期には年間販売台数が約9000万本、2001年までに世界で約1億本の売り上げを記録した、昭和を代表するヒット商品のひとつだ。

デジタルカメラやスマホ主流の今、もうすっかり廃盤になっているかと思いきや、現在でも2タイプが販売されている。しかも2015年頃から再び売れ行きが右肩上がりに転じ、販売台数が増加しているという。

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現行機種は
①写ルンですシンプルエース
2001年発売。27枚撮りと39枚撮りがある。もっともスタンダードなタイプで、ISO400フィルムなので、明るい日中での撮影なら問題なく撮影できる。フィルムカメラ初心者が、入門用として使うのにいいだろう。

②水に強い写ルンです New Waterproof
水深10mまでの水中でも撮影できるウォータープルーフタイプ。27枚撮りのみ。海やプールなど、デジタルカメラやスマホを濡らしてしまう心配のあるような場所で活躍しそうだ。

フィルムカメラは、現像するまでどんなふうに仕上がっているかがわからないところが、ひとつの面白みだ。デジタルなら、撮影した瞬間に写り具合がわかるが、フィルムではそうはいかない。そのあたりの面白さが、若者にも受けている理由かもしれない。

多彩なバーションがあるインスタントカメラ「チェキ」

2018年に発売20周年を迎えた富士フィルムのインスタントカメラ「チェキ」も、人気が復活傾向のアナログカメラのひとつ。シャッターボタンを押せばすぐに撮影でき、すぐにプリント写真が手に入るカメラだ。撮影に特別な知識や技術は必要なく、子どもや女性でも簡単で、使いやすいことが最大の魅力だ。しかも、すぐにプリントに焼き付け、独特の風合いのある写真が手に入る。

フィルムのサイズは、カードサイズ・スクエアサイズ・ワイドサイズの3種あり、撮影するとすぐにプリントが手に入る。デジタルカメラやスマホで撮った写真は、いったんプリントショップやプリンターを通さないとプリント写真にはできないが、チェキなら撮影した次の瞬間にプリント写真が手に入る。自分の部屋の壁などに思い出のプリント写真をベタベタと貼っていくなど、そのカジュアルさが若者に受けているようだ。

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また、チェキには、革張りのクラシカルなタイプ、多彩な撮影モードを備えたタイプ、アニメキャラクターとのコラボモデルなど、さまざまなバージョンがあることも魅力のひとつ。それぞれのライフスタイルにあった、自分だけのアナログカメラを持つことができる点も、個性派の若者に受けている理由のようだ。

デジタルカメラの隆盛によって一時は存続さえ危ぶまれた富士フイルムは、現在ヘルスケア事業で構造転換に成功し、化粧品や健康食品で事業拡大を図っている。加えて、アナログフィルム人気も復活となれば鬼に金棒というところだろうが、事業としてどこまで拡大できるのかはまだまだ不確定な状況だろう。

今のアナログフィルムを一時のブームで終わらせず、デジタルに飽きた若者を吸い寄せるような何らかの仕掛けを、これからも考えていく必要があるのではないだろうか。

次回は、アナログ音楽とボードゲームについて取り上げよう。

≪記事作成ライター:三浦靖史≫ 
フリーライター・編集者。プロゴルフツアー、高校野球などのスポーツをはじめ、医療・健康、歴史、観光、時事問題など、幅広いジャンルで取材・執筆活動を展開。好物はジャズ、ウクレレ、落語、自転車。


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