レコード産業の“いま”──。 多様化するメディアとマーケットの変化


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音楽は、心の癒やしであり、生活のリズムを作るために重要な存在ですね。
好きな音楽を聞くために自らディスクを購入したりすることがもちろん、ラジオや街、そしてネットにも音楽があふれています。
なかにはレコード、そしてCDに、数百万円から数千万円を投じて収集した時代もありましたが、ここ10~20年間で、音楽を聞くためのメディアのあり方は大きく変化。
そこで今回は、変遷著しい、音楽産業の過去・現在・未来を少しのぞいてみましょう。
 

レコード事始め

 
アナログのレコードを再生する〈蓄音機〉がエジソンによって発明されたのは1877年のこと。当初は円筒形をした蝋盤でした。日本語の〈蓄音機〉はそのものずばり「音をたくわえておく機械」です。公開で日本に紹介されたのは1879(明治12)年のこと。
輸入レコードが一般に発売されたのは1903(明治36)年で、価格は1円75銭から5円ほどしました。はがきは1枚1銭だった時代です。
 

大衆化とレコード

 
レコードが大衆化したのは昭和に入ってから。昭和10年の生産枚数は約2900万枚、金額にして1600万円ほどの市場でした。
レコード産業がピークを迎えたのは昭和50年ごろ。昭和51年のLPアルバムの生産枚数は約2億3134万枚、販売価格の合計は約2183億円でした(シングルレコードやカセットテープ含む)。

音楽メディアも多様化します。オープンリールテープやカセットテープ、平成になってからは音楽ビデオも登場します。多様化もあってアナログレコードの販売枚数はしだいに落ち始め、代わって「コンパクト・ディスク」が登場しました。
「コンパクト・ディスク」が最も売れたのは統計上では1998(平成10)年のことで、生産枚数で約3億枚、売上約4924億円でした。

ところが、平成26年のコンパクト・ディスク(アルバム・シングル)の販売枚数は1億1493万枚、販売金額は約1840億円でした。単純な比較はできませんが、CDの市場もこの15年でおおよそ40%になってしまったということです。
 

メディアの多様化

 
この変化にはやはりメディアの多様化が大きく関係しています。
レコードやCDなどのソフトを「パッケージ・メディア」と呼ぶことがありますが、つまり持ち運びできる媒体に収められたかたちで販売されるソフトのことです。パッケージ・メディアは、じっくりとアーティストの作品を味わうことができます。「もの」としてコレクションの対象でもあります。

現在音楽の流通はパッケージ・メディアとネット経由で配信される音楽が拮抗しています。
曲単位でデータをダウンロードすれば、ケースもジャケットも不要、BLUETOOTHで飛ばせば音源から離れても楽しめます。近年では圧縮されたデータの音質を上げる「ハイレゾ」という選択肢もあります。
ジャンルやアーティストごとにストリーミングで聞きっぱなし、などということもできる時代です。インターネットラジオなどの無料ストリーングもあります。若い方はあまりディスクのかたちで音楽を聞いていないという向きも多いでしょう。
音楽産業の規模が変わったということと同時に、音楽の楽しみ方も劇的に変わったのです。
 

業界を一新した、音楽配信市場

 
日本では2014年の有料音楽配信の実績は437億円。これもやはりスマートフォンの普及が追い風となって前年より伸びています。
日本はまだディスクの比率が高いのですが、世界的には音楽配信は高い割合になっています。
2014年には世界の音楽配信売上では、約7000億円(69億ドル)に達しました。これはパッケージソフトの売上と同額で、つまり配信とパッケージは現在のところ、ほぼ同じ規模になっているのです。おそらく現在はすでにこのランクは逆転しているでしょう。

ただやはり、音楽売上の総額は2014年では約150億ドルで、1998年の242億ドルの規模から30%以上のダウンです。
アナログレコードの愛好熱が復活しているという話題もありますが、音楽配信の広がりは続くでしょう。

10年後、どんなかたちで音楽は私たちの耳に届くでしょうか……?

※参考文献:倉田喜弘『日本レコード文化史』(岩波書店)、「日本のレコード産業 2015」(日本レコード協会)ほか
 

≪記事作成ライター:帰路游可比古[きろ・ゆかひこ]≫
福岡県生まれ。フリーランス編集者・ライター。専門は文字文化だが、現代美術や音楽にも関心が強い。30年ぶりにピアノの稽古を始めた。生きているうちにバッハの「シンフォニア」を弾けるようになりたい。


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